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生まれるんじゃなかった、と思う人が生まれなくて済んだ世界が理想の世界。
たとえば自分の境遇なり容貌なり性格なりを憎んでいる、かれら。かれらがいない世界、うつくしくやさしくけだかい人々だけが逍遥している世界。それがかれらにとって理想の世界。

だれがそれを決めるのか。
かれらが。
かれらは傲慢である。
わたしは傲慢である。

世界は音をたてることなく弧を閉じる。
わたしを容れない世界がわたしの世界。

黄昏のレモン明るくころがりてわれを容れざる世界をおもふ
井辻朱美

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説明がつかない話を見聞きしてこわがりたいのは、人にもよるだろうが、こわくなくなりたいからということもあるかもしれない。
身辺と異界、此岸と彼岸、生きている私と思い出の中の彼/彼女が、そんなに大きくは違わないよう願っているからかもしれない。

恐怖は郷愁である。

ぼやけてゆく。

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