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よりよいほうへ。

モラルの低下、犯罪の凶悪化、などと嘆くのは、それが見えるようになったからだ。むかしはこんなではなかった、と思うのは、当時ものが見えなかったからだ。

現在の習慣や環境が、過去にくらべてわるくなったとは限らない。よくなったとも限らない。変化は理解できても進化は実感できない。

人が争ったり祈ったりするのは、それぞれのやり方で、「よりよいほう」へ向かおうとするためだ――という前提はまだ完全に無効になってはいないにせよ。

図式的にいえば、若いうちは未来を恋い、老いると過去を慕うことになるのだろうが、インターネットのなかで、自分の年齢はあいまいになる。
「よりよいほう」とは、どちらのほうだったか。