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瀕死の白鳥のなんといきいきと踊ることだろう!
(ダンサーによっては「ちょっと寝ます…」くらいの演技にとどまるひともいるけれど。きっと、彼女の肉体はまだ若すぎるのだろう)

生を感じさせるものが好き。
夕陽、朝ぼらけの月、時代遅れの歌、倒れて血を流す人、廃れゆく都市、そうしたものたちが存在過程のなかでもっともいきいきと息づき、死にぎわのあがきをかがやきに変える季節にあってこそ、生きることはすばらしいと、ひとが、自分が、口にすることをゆるせる。

頽廃の光輝にとって、あたらしいものなんて、未だ蒙く死んでいるも同然だ。

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