ルー・リード
ネット書店に配信するためのメッセージを用意せよ、ということだったので、およそ以下のようなものを送りました。本日はその前半。
『ゴシックハート』著者からのメッセージ
高原英理
物心ついた頃から怪奇なもの怖いもの暗がりにあるものが気になって仕方なかった。夜、墓場、お化けとか怪談とか。
集団生活と共同作業が苦手。今のところ徴兵制はないからよいが軍隊に入れられたら耐えられないだろうな。
平穏が続くというのが信じられない。いつも死のイメージばかり考えていた。今も。
ダークな感じ、陰惨なもの、残酷な物語・絵・写真を好む。ホラーノヴェルもホラー映画も好き。
時代遅れと言われても耽美主義。様式美の感じられないものに興味が持てない。
身体の改変・変容に強い興味がある。サイボーグを夢見ている。肉体の束縛を越えたい。
両性具有、天使、悪魔、多くは西洋由来の神秘なイメージが好き。澁澤龍彦の紹介した文物絵画など。
金もないのに贅沢好み。少女趣味。猟奇趣味。廃墟好き。頽廃趣味。逆の無垢なものにも惹かれる。
情緒でもたれあう関係が厭。はにかみのない意識が厭。
自信満々の人が厭。弱者だからと居直る人も厭。「それが当たり前なんだから皆に合わせておけ」と言われると怒る。はじめから正統とされているものには疑いを感じる。現状の制度というのが決定的な場面では自分の味方でないように思える。
気弱のくせに高慢。社会にあるどんな役割も自分には相応しくない気がする。毎朝、起きると、また自分だ、と厭になる。自分でないものに変身したい。それは夜に生きる魔物であればよい。フランケンシュタイン・モンスターの気持ちがわかるつもり。楳図かずおの描く怪物たちの気持ちがわかるつもり。
最近ようやく気づいた。私の考え方、好み、いずれも、ゴシックと呼ばれるものなのだ。私のような感じ方をゴシック的と言うのである。
これから私はゴシックな意識について語ろうと思う。それは主義のような言い方になるときもあるが主義ではない。また思想や理論として構築されているのでもない。言ってみれば好悪の体系のようなものだ。しかしそこに自分として確固たる必然が感じられるものだけを語る。好みだからといって重要でない筈はない。命懸けの好みなのだと言いたい。ロックがそうであるように、それは生き方だからだ。
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