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ルイス・キャロル

リアルタイム的コメント その2

承前

ところで、今回、『ホラー・ジャパネスクの現在』に
跡上史郎氏による
「澁澤龍彦 死後の生――ゴシック/セクシャル・マイノリティ/サブカルチャー」
という澁澤龍彦について主に記した記事が掲載されているが、その中に
自著『ゴシックハート』について言及したところがあり、しかも小見出しには
「ゴシックハートと小さな三島由紀夫たち」「ゴシックハートを超えて」
とある。
この小見出しからもわかるとおり、
跡上氏は、私が「ゴシックハート」と呼んだ心性に対しては批判的である。
そして結論から言えば、その批判は、私から見ても正しい。

簡略に跡上氏の見解を紹介すると、
澁澤龍彦については、
暗黒・異端・そしてゴスの元締め、といったイメージで語られる部分と、
後年、当人自身がそうした重苦しいイメージに辟易しつつ提示した
軽妙な、あるいはユーモアに富んだ部分、という少なくとも二つの面があり、
その死後、澁澤に対する批評は後者の可能性を強調する方向で
進んだにもかかわらず、
現在、ゴシックと耽美を愛する読者からは相変わらず
「黒い貴公子」として崇拝されていることが多い。
むろん、こうした部分を全く見ないで澁澤を語るのは間違いであるし、
またこの部分あっての澁澤、そしてその人気でもあるのだが、
その硬直しがちな部分だけを見て陶酔し崇拝する、
自己相対化とユーモアに欠けた態度を跡上氏は「ゴシックハート」と呼んで否定し、その視線だけで澁澤を崇拝することを批判している。

(つづく)

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