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トリスタンとイゾルデ

実相寺昭雄氏が逝去された。深く追悼します。
今年は悲しいことが多い。

遺作となった『シルバー假面』の紹介を見ていていろいろ考えることがあった。
映画はまだ公開されていないが、そのサイトの予告にあるストーリーによれば、

http://www.silverkamen.com/silverkamen/

舞台は戦前1920年の日本およびドイツ、シルバー假面となるのは森鴎外とドイツ人女性(「舞姫」エリスである)の娘、若い日の江戸川乱歩が登場、変身はニーベルンゲンの指輪の力で、敵は巨大飛行船をあやつるカリガリ博士、部下・チェザーレ、宇宙人、鋼鉄の女性型ロボット・マリア等々、出来はまだ知らないが、こういう大掛かりな大法螺は私にはツボ。
この種の過去の恣意的な利用は、たとえば寺山修司の、自己のトラウマを埋めるための空しい、しかし真剣な「過去の改変」とは異なって、いわば遊びの領域だが、といって野田秀樹の芝居のような、多彩な物語イメージの自由なつぎはぎとも違う。
ある種の実証的ルールを守りつつパラノイアックな遊戯精神がうまく機能するとこういうことになるのではないかと思うが、といって、まだ見ていないので映画としてうまくいっているのかどうかはわからない、ただ私にはこうした過去の物語素の巧妙なパズル的組み合わせがとても好ましいということ。

フィクションと事実記録とで巧妙に編み出された、ありえないもうひとつの過去が懐かしい。
自分の場合、それはほぼすべて、1910~30年代日本のモダニズムとエログロの様式となる。
運がよければ近く、過去と記憶に関するエッセイを書くことになるだろう。続きはそこで語りたい。

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