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見ずや空

『月光果樹園』内容予告その1

■第一章は全編の開始を告げる意味で、古代ケルト世界では魔術的な果実とされたとも聞く「山査子(さんざし)」を章題とした。
「ロマンティシズムの継承権」はイントロダクションとして、幻想文学という曖昧な、ジャンルとも言えないジャンルのとりあえずの定義をひとまず考えた上で自らの志向の位置といったところを記す。なお、幻想文学についてのさらに明確な定義は第七章、中井英夫に関する「文人と幻想文学者の間」に書かれる。
「遠い記憶として」は1960~70年代、その置かれた状況から、現実的意味とはやや別の形で、幻想文学に接近しがちな「幻影の性」として機能することのあった男性同性愛への美的幻想とその受容例の報告。
■第二章、「形而上憧憬症候群」は、尾崎翠と、その世界への感じ方を受け継ぐ主に女性の幻想文学者の系譜について。一章でのロマンティシズム・様式意識、幻影の性への憧憬、とともにさらに徹底した形而上的なものへの憧憬のありかたを辿る。
その豊饒さ、そして人為により変容し、時に貴重な美酒となるといった性質から、この章は「葡萄(ぶどう)」とした。

以上二章までがある程度全体的な幻想文学概観となります。

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