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ぞぞが来る

随分いい加減な記憶のまま書くが、確か三島由紀夫が一問一答の問いをいくつか受けて答えていた中に「欲しいものは?」の答えとして「もうひとつの目」という言葉があったように思う。
正しくは「もうひとつの……、もうひとつの……、もうひとつの目」というように三連の言い方で書かれていた中のひとつと記憶する。
それが現在の自分の気になることのひとつ。
自分という意識を外から見る別の目があって、それを自分でない意識で捉えたい。
不可能だ。
意識の外は意識には把握できない。
でも気になる。

もうひとつ気になるのは、どこまでいっても相対的でしかない価値にどこで特定の確信が生じるかということ。
宮澤賢治なんて、生前は誰も天才とは言わなかったのではないだろうか。
いくらか認める人がいたとしても、それあっての彼の創作ではないように思える。
宮澤賢治は何を信じて、ああいった孤独で確信に満ちた創作を続けたのか。
今や完全に高い価値が確定したと思われている宮澤賢治の作品群だが、それとて歴史がそうさせたに過ぎない。
確定は永遠にない。
だが価値が未確定のまま何かなされることはありえない。その都度価値は確信を持って決定され続けている。
どこでそれが決まるのか。

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百年(ももとせ)ぞ

鬼つながりでもうひとつ。
「おにふすべ」というものがあってこれも菌類だが、傘の開いた茸型をしておらず、白くて丸い球である。
これはそして、ある日突然発生することがあるそうで、昨日何もなかったところにいきなり、バレーボールくらいの白丸球がごろんと出ていたりするというが、本当なのか、写真でしか見たことはない。
転がっては胞子を撒くとも言い、なら是非一度実際に見たいものだ。

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照る月も

同じ種類の何かがとても大きい場合、呼び名に「鬼」とつくことがある(逆に小さい場合は「姫」がつく)。
しめじの大きいのに「大しめじ」というのがあるそうだが、「鬼しめじ」というのもあって、きっともっと大きいのだろう。
ところが「仁王しめじ」というものもあるのだそうで、としたら、鬼をもひしぐという意味で「鬼しめじ」より大きいのだろうか。

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成るべくして

ちょいとした記念に小さい木彫りのきのこの模型をもらった。
一部、樹皮を生かしてうまく、かわいらしくできている。
傘の下のところがまたとてもリアルだったりする。
ほんのり木の香りがする。
ドイツ製だという。
きのこは不思議だ。ときどき怖い。そして魅力的だ。

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来るはよきことかな

先々月くらいから池袋西武の書店リブロが大規模模様替えをしていて今月ほぼ完成したらしい。
ここしばらくあまり出られず、久しぶりに行ってみたら、新刊文芸書のスペースの入り口から少し入った右手あたりにある大きな柱の一面を使って

「ガーリーブキッシュライフ
 ~読まず嫌いのあなたにすすめる文学の世界」

という棚ができていた。
これはその句にあるように、千野帽子さんの新刊『読まず嫌い。』を中心にした企画らしく、同じく千野さんの『文藝ガーリッシュ 素敵な本に選ばれたくて。』『文學少女の友』『世界小娘文學全集……文藝ガーリッシュ舶来編』が一挙に置いてあるのだが、それとともに浅生ハルミンさんの『ハルミンの読書クラブ』『猫座の女の生活と意見』、近代ナリコさんの『ナリコの読書クラブ』『本と女の子 おもいでの1960-70年代』、野崎歓さんの『こどもたちは知っている 永遠の少年少女のための文学案内』といった、いわばお仲間的な本が上段の方に一緒にあり、中段からは「ガーリッシュ」な本ばかりセレクトして置いてある。
ラインナップは、記憶(メモした)する限り(その後多少入れ替わりあるかも)で

森茉莉『甘い蜜の部屋』 尾崎翠『第七官界彷徨』
吉屋信子『花物語』 林芙美子『放浪記』 
矢川澄子『兎と呼ばれた女』 早川茉莉編『エッセンス・オブ・久坂葉子』
藪禎子『野上彌生子』 市川慎子『おんな作家読本 明治生まれ編』
城夏子『また杏色の靴をはこう』 山川彌千枝『薔薇は生きてる』
倉橋由美子『酔郷譚』 須賀敦子『遠い朝の本たち』 山尾悠子『ラピスラズリ』
アナイス・ニン『人工の冬』 エイミー・ベンダー『燃えるスカートの少女』
トルーマン・カポーティ『テイファニーで朝食を』 エリザベス・ボウエン『愛の世界』『リトル・ガールズ』
太宰治『女生徒』 室生犀星『蜜のあわれ われはうたえどもやぶれかぶれ』
小川洋子『完璧な病室』『寡黙な死骸 みだらな弔い』『ミーナの行進』

とあって、一番下の右端、佐々木丸美『雪の断章』 の隣に

高原英理『神野悪五郎只今退散仕る』『少女領域』

でした。
この棚をご用意なさった店員様に心から感謝申しあげます。
すごーくいい選択です、というより、こんな素敵な本たちの中に二冊も、しかも『神野悪五郎』を入れてもらってうれしー。
そうです、これ、一見わかんないけどこの種の本でもあるんです。

なお、この棚がいつまで続くかわかりませんが、しばらくは本によっては数冊ずつ、表紙を見せて立ててあるので、既に新刊でない本でも、何冊かの中から選んで買うということができますね。
まだお持ちでなく、できるだけ綺麗なの購入ご希望の方は今がチャンス。 

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