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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』全収録作品、再掲

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円)

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人形制作・撮影 中川多理 / デザイン 柳川貴代 

以下、改めて収録作品を章分けとともに記します。一気に全景をご覧になりたい方のため。

※※※※※※※※※※※

 高原英理  「リテラリーゴシック宣言」

1   黎明

 北原白秋  「夜」
 泉鏡花   「絵本の春」
 宮沢賢治  「毒もみのすきな署長さん」

2   戦前ミステリの達成

 江戸川乱歩 「残虐への郷愁」
 横溝正史  「かいやぐら物語」
 小栗虫太郎 「失楽園殺人事件」

3   「血と薔薇」の時代

 三島由紀夫 「月澹荘綺譚」
 倉橋由美子 「醜魔たち」
 塚本邦雄  「僧帽筋」
 塚本邦雄  三十三首
 高橋睦郎  「第九の欠落を含む十の詩篇」
 吉岡実   「僧侶」
 中井英夫  「薔薇の縛め」
 澁澤龍彦  「幼児殺戮者」

4   幻想文学の領土から

 須永朝彦  「就眠儀式」
 金井美恵子 「兎」
 葛原妙子  三十三首
 高柳重信  十一句
 吉田知子  「大広間」
 竹内健   「紫色の丘」
 赤江瀑   「花曝れ首」
 藤原月彦  三十三句
 山尾悠子  「傳説」
 古井由吉  「眉雨」
 皆川博子  「春の滅び」
 久世光彦  「人攫いの午後」

5   文学的ゴシックの現在

 乙一     「暗黒系 goth」
 伊藤計劃  「セカイ、蛮族、ぼく。」
 桜庭一樹  「ジャングリン・パパの愛撫の手」
 京極夏彦  「逃げよう」
 小川洋子  「老婆J」
 大槻ケンヂ 「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」
 倉阪鬼一郎 「老年」
 金原ひとみ 「ミンク」
 木下古栗  「デーモン日暮」
 藤野可織  「今日の心霊」
 中里友香  「人魚の肉」
 川口晴美  「壁」
 高原英理  「グレー・グレー」

 高原英理  解説

※※※※※※※※※※

以上。
いつもここをご覧いただいている方には再度で失礼。
来年はじめ、次の一手について相談予定です。お楽しみに。

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現代性について

先日編集の人と話したこと
現代作家・現代作品というと、『リテラリーゴシック』で言うなら、第三章「『血と薔薇』の時代」以後はどれも現代作家の作品と言えるわけだが、ただそこに、第五章「文学的ゴシックの現在」とそれ以前との差がいくらかあるとしたら、何かへの疑いの多寡ではないか、ということ。
これは『リテラリーゴシック』に限らない、日本文学全般のことだが、ある時期から、「完璧な小説」というイデアの無効を実感し始めたのかと思う。
「小説は天帝に捧げる果物、一行でも腐っていてはならない」という中井英夫のような態度を不可能と感じる度合いが増えた、あるいはそうした完璧さを信じない、むしろ批判する、というような意識と言えるか。
もっと簡単に言えば、従来の重厚な「美意識」といった形では気恥ずかしくてどうも、という感じ方だろうか。それが僅かずつ「なんちゃって」的な意識を加わえてきて、の結果、ときに「とほほ」であったり、故意の「イタタ」であったり、と、若干笑いも入りの自意識の叙述、少し緩い、しかしおかしく面白い、ただ、それでもかつて美意識とされた何かへの郷愁は忘れない、というようなところだろうか。ただし第五章収録作品のすべてがそれというわけではない。
上、やや熟していないので、この件はまたそのうちに。

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ありがたい反応いくつか

★1★ みほさんという方のツイートから。

みほ ‏@ninomiho0617 12月19日
うわぁ…読みたい方ばかりだ!
『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第五章収録作品 http://miminokioku.air-nifty.com/sokutei/2013/12/post-8d52.html …

★2★ 猫丸さんという方のツイートから。

猫丸 ‏@necomaru 12月26日
ゾクっとさせて貰えそう。。。
筑摩書房のPR「世界の残酷さと人間の暗黒面を不穏に、鮮烈に表現す...『リテラリーゴシック・イン・ジャパン: 文学的...』  http://bit.ly/1cTmsOw  #booklog

★もひとつ、さっき家人から聞いた★ ホネカさんという方のツイートから(2回分)。

ホネカ ‏@honekha 5時間
自分の記録として。2013年に読んだ本の個人的ベスト10。

10.「袋小路の男」絲山秋子
9. 「感応連鎖」朝倉かすみ
8. 「えーえんとくちから」笹井宏之
7. 「バスを待って」石田千
6. 「ラークライズ」フローラ・トンプソン

5 .「抒情的恐怖群」高原英理
4. 「なんらかの事情」岸本佐知子
3. 「最果てアーケード」小川洋子
2. 「不思議の国の悪意」ルーファス・キング
1. 「恋するよりも素敵なこと」アンナ・ガヴァルダ

   ↑これは岸本佐知子さんと並んでるのがより嬉しかったり。あれ名著です。

ありがたす。

なお『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』等、筑摩書房での近刊紹介はこちら→

アマゾンでもようやく書影が出ました。→

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仕事ってこんなん?

石を投げる。
反応を待つ。
反応があれば次の石を投げる。
反応を待つ。
反応がなければ別の石を投げる。
また反応を待つ。

何にしてもまず投げかけてみないとわからないことが多い。という感想。

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一日遅れのクリスマスプレゼント

見本が来た。

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読書会をしよう

カフェ百日紅さんのご好意で、来年1月26日(日)18:00から第一回『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』読書会を行うことになりました。
当読書会は全四回を予定しています。
『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫)は先日来記していますとおり680ページ以上あり、また

序文  「リテラリーゴシック宣言」
第一章 「黎明」
第二章 「戦前ミステリの達成」
第三章 「『血と薔薇』の時代」
第四章 「幻想文学の領土から」
第五章 「文学的ゴシックの現在」
解説

という構成になっていますが、この序文と第一章・第二章・第三章があわせて210ページ程度、第四章だけで200ページ弱、第五章だけで260ページくらい。プラス解説。
それで、680ページを一回では大変なので、この三回に分け、第一回目は序文・一章~三章、第二回目は四章、第三回目は五章の収録作を主な言及対象として行います。第四回はそれまでの経過報告と総論(というと固いが要するに全体の感想)という予定。
発表義務とかレジュメとかそういうのはありません。読んで思ったこと程度でけっこうです。
「なんでこれが入ってない」「これ入ってるの間違いじゃないか」的意見歓迎。ただ聞いておられるだけも歓迎。お気の向いた方はどなたでもどうぞ。
入場無料。ワンドリンクオーダーのみお願いいたします。場所はここ→
日が近くなったらまた書きます。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第五章収録作品

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円) 第五章「文学的ゴシックの現在」 収録作品は

乙一     「暗黒系 goth」
伊藤計劃  「セカイ、蛮族、ぼく。」
桜庭一樹  「ジャングリン・パパの愛撫の手」
京極夏彦  「逃げよう」
小川洋子  「老婆J」
大槻ケンヂ 「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」
倉阪鬼一郎 「老年」
金原ひとみ 「ミンク」
木下古栗  「デーモン日暮」
藤野可織  「今日の心霊」
中里友香  「人魚の肉」
川口晴美  「壁」
高原英理  「グレー・グレー」

以上十三作品。
ほぼ同時代の作品であるし、作者についてあまり多く説明する必要もないと思う。四章までと同じく、ひとつひとつが独自の可能性を開いている。その意味の詳細は本文解説をご覧ください。
澁澤龍彦のアンソロジー『暗黒のメルヘン』では、編者自身の「マドンナの真珠」が収録されていて、それまで翻訳家・評論家とだけ思っていた澁澤龍彦が、こんな不思議な小説を書く人だったのだ、とそこで知った。『唐草物語』や『ねむり姫』等が発表される以前のことだ。それに倣い、本書でも編者の自作を収録した。今回の本は私にとって理論より実践の書だからでもある。澁澤さんの作品のように面白く読んでもらえることを願う。

当アンソロジーについてのもう少しくだけた感想などを今月23日(月曜・祝)18:00から、カフェ百日紅→でお話します。お聞きになりたい方お気が向いた方はどうぞ。会費無料ですがワンドリンクオーダーをお願いします。

またそこで語った内容と当ブログに記したことを改めてまとめ、来年1月くらいに小冊子『リテラリーゴシック・イン・ジャパン もうひとつの解説』を作成する予定でいます。こちらは関連イベント等での特典として配布します。が、いずれもまだ未定なので、入手ご希望の方は当ブログや筑摩書房のツイッターで以後の予定をご確認ください。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第四章収録作品

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円) 第四章「幻想文学の領土から」 に収録の作品は

須永朝彦  「就眠儀式」
金井美恵子 「兎」
葛原妙子  短歌三十三首
高柳重信  俳句十一句
吉田知子  「大広間」
竹内健   「紫色の丘」
赤江瀑   「花曝れ首」
藤原月彦  俳句三十三句
山尾悠子  「傳説」
古井由吉  「眉雨」
皆川博子  「春の滅び」
久世光彦  「人攫いの午後」

以上十二作品。
『血と薔薇』はひとつの頂点を見せたが、リテラリーゴシック、と今名づけたい作品はその参加者だけがなしたのではない。現在「幻想文学」と目される作品の多くにリテラリーゴシックはひそむ。1960年代から90年代くらいに発表された、それぞれに全く異なる名作群を、今、新たな視線から読もう。
ここには現リテラリーゴシック作者たちの偉大な先輩がいる。

須永朝彦の短篇集『就眠儀式』と『天使』では、ゴシック小説的な怪奇が耽美と憧れの視線で語られた。その手つきを見習いたい。
金井美恵子と吉田知子、そして古井由吉は現代日本純文学の最高峰と思う。そういう作家たちがこんなゴシックな短編を書いているのは心強いことだ。
同じことはエンターテインメントの側とされる赤江瀑と皆川博子にも言える。というより、こういう作家たちがいてくれたおかげで私はリテラリーゴシックという、自分に納得のできる概念を得た。
山尾悠子と竹内健は、たとえば日本の幻想文学とはどんなものかと問われたときに、これである、と示したい、そんな卓越した作品を書いている。山尾のデビューからしばらくの記録や、竹内が加わっていた新書館のフォア・レディースというシリーズなど、周辺の記憶も懐かしい。
詩歌では、かつて「短歌研究」編集長だった中井英夫が盛り立てた「前衛短歌」の名の下、塚本邦雄・寺山修司らが活動した、その中の一人として葛原妙子もいる。塚本と親しく、その第一歌集の印刷に協力したという高柳重信は俳句の方の前衛運動で知られた。
藤原月彦の名を知ったのは「JUNE」誌上である。これも懐かしい。なお、この人は現在、歌人として知られ、そちらの名は藤原龍一郎である。
久世光彦とは『少女領域』以来、多少、縁があった。『昭和幻燈館』で惚れこみ、『一九三四年冬 ―乱歩』『早く昔になればいい』で驚嘆した。ある時期から純文学では「いい文章」を否定する方向に行ったが、最後までそういう愉悦と驚異の技法を捨てない昔気質の誇り高い文人だったと思う。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第三章収録作品

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円) 第三章「『血と薔薇』の時代」 に収録の作品は

三島由紀夫 「月澹荘綺譚」
倉橋由美子 「醜魔たち」
塚本邦雄  「僧帽筋」
塚本邦雄  短歌三十三首
高橋睦郎  「第九の欠落を含む十の詩篇」
吉岡実   「僧侶」
中井英夫  「薔薇の縛め」
澁澤龍彦  「幼児殺戮者」

以上八作品。
戦前の変格探偵小説の世界は今言うところのサブカルの元祖のひとつでもあるが、それに対して、戦後、1960年代末に澁澤龍彦編集(3号まで)として発行された「エロティシズムと残酷の総合研究誌」、『血と薔薇』は飽くまでも「アヴァンギャルド・アート」として受容された。
そこにはサドを再評価したブルトンらのシュルレアリスムが、前衛かつアナーキー、そして性的なそれを含めセンセーショナリズムを煽る形の「芸術」と認められ、そうしたものとして日本でも言及されたという経緯からの位置づけがある。何より、三島由紀夫という権威ある純文学作家が加わっていたことで、今ならこれまたサブカルとされるだろう表現も、いくぶんかは高級な芸術の意味合いを含んだ。
とはいえ、その「なんだかスゴイ」の味わいは当時のアングラアートに通じていたし、同時期活動した寺山修司の舞台とともに、どこか邪道のアートという受け取られ方もされただろう。その感じを当時の言い方で言えば「異端」なのだった。戦前変格探偵小説を祖父母とするならこれが現在日本のゴス直接の父母である。
この章は60年代末、澁澤龍彦の呼びかけに応じ『血と薔薇』に参加した作家たちを中心に構成した。中井英夫だけは『虚無への供物』以後の活動が1970年代からだが、エコール・ド・三島+澁澤の一員としてここに加えた。

三島由紀夫はこの時期、純文学という芸術の名の下に、したい放題のサブカルを行えた選ばれた人である。それは現在の村上春樹の作品の多くが実質エンターテインメントなのに、その出自から飽くまでも純文学とされノーベル文学賞候補とも目される事情に似ている。三島の死後も彼の作品は愛され読まれ続けているが、それを現在の純文学の基準ではかることはもう難しい。そこにある呪いのようなロマンティシズムと中二病的選別意識は今ではほぼエンターテインメントの受け持つものだからだ。だが、確かに凡百の手腕ではない。優れた修辞で語られるポオのような怪奇をお読みいただきたい。
三島に呼応したのが倉橋由美子で、その方法は違うが、やはりよい意味でも悪い意味でもロマンティシズムと中二病的選別意識の暗く見事な達成としてある。これも1960年代でないと成立しなかったと思う。
塚本邦雄は前衛歌人であるとともに、呆れるばかりのレトリックに埋もれたバロック的な「瞬篇小説」の作者でもあった。ここではその両方を味わえるよう、小説と短歌とをともに収録した。
高橋睦郎、吉岡実、いずれも堂々たる日本現代詩の巨人であり、掛け値なしの芸術家である。だがその初期の発想には60年代「異端」の香りがはっきりとある。それをここで改めて「リテラリーゴシック」として再読してみたい。
中井英夫と澁澤龍彦の意味と位置づけはもはや言うまでもない。中井の「人外(にんがい)」、澁澤描くジル・ド・レーの暴挙を、リテラリーゴシックは貴重な記憶とする。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第二章収録作品

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円) 第二章「戦前ミステリの達成」 に収録の作品は

江戸川乱歩 「残虐への郷愁」
横溝正史  「かいやぐら物語」
小栗虫太郎 「失楽園殺人事件」

以上三作品。
現在教えている日大芸術学部ではたまに「わたしの制作したショートフィルムです」と言ってDVDをくれる生徒がいるのだが、そうした作品でゴスな世界を描く場合、まずほぼすべてが戦前、大正から昭和初年を舞台にしていたと記憶する。
つまり、現在、若い映像創作者がイメージする「日本的ゴス」は圧倒的に戦前、「新青年」等に掲載された変格探偵小説の記憶によっているということだ。むろん例外は認めます。
私が愛する商業映画でも、紀里谷和明監督の「CASSHERN」も、佐藤嗣麻子監督の「K20 怪人二十一面相・伝」も、時代は現在か未来であっても、その世界は戦前の差別と格差が続く日本のまま、という仕掛けがあった。こういう発想をもたらす原点には、戦前エログロナンセンス時代に発生した「ある文化」が大きく寄与しているのだ。
つまり、戦前変格探偵小説の世界こそが現代日本のゴシックな世界のもとを作り上げた、という意味で「戦前ミステリの達成」とした。
ただ、今回はできるだけ現代を主として、そこから振り返る形での文学的ゴシックの回想という意味なので、ここは重要な章ではあるが、あまり多くを収録できなかった。この三者は本当に典型的な戦前変格探偵小説作家だが、むろん他にも夢野久作、海野十三、国枝史郎、等々、収録したい作家はあった。しかし、『新青年傑作集』、その怪奇幻想編というアンソロジーは既に複数あり、好きな人はもう読んでいるということも考えられる。そこでこの程度となった。読者諒せよ。

江戸川乱歩の場合、これも、こういう本を手にとる方が全然読んでいないとは思えないし、これほどの人気作家なのだから名短編といってわざわざあげるまでもない。それで、日本のゴシックとでも言うべきセンスをもたらした発想がどこからきたのかを示す随筆を収録して、「戦前ミステリの達成」の秘密を明かしてもらうことにした。
横溝正史はどちらかと言えば戦後の金田一耕助シリーズのいくつかのほうが和風ゴシックロマンスだが、このアンソロジーは「ゴシックロマンス」ではなく「文学のゴシック」をめざしている。他にも『鬼火』や『蔵の中』等々、戦前の珠玉作ですね。
小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』は戦前のゴシックロマンスであり文学的ゴシックでもあるが、長すぎるのでそれに匹敵する作品としてこれにしてみた。

なお、参考として、江戸川乱歩について、かつて「伝奇M」という雑誌に掲載された、高原選・乱歩作品ベスト10を以下に記します。

1  孤島の鬼
2  盲獣
3  芋虫
4  闇に蠢く
5  魔術師
6  大暗室
7  白髪鬼
8  幽霊塔
9  パノラマ島奇談
10 押絵と旅する男  

飽くまで変格主体のベスト10なので、本格好きの方、おこらないでね。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』第一章収録作品

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』(ちくま文庫 2014年1月刊行予定 税抜1600円) 第一章「黎明」 に収録の作品は

北原白秋 「夜」
泉鏡花  「絵本の春」
宮沢賢治 「毒もみのすきな署長さん」

以上三作品。
時代的に、まだゴシックな文学という意識はないが、現在のゴスの感じ方の源流にあるような作品を置いて、始まりのゴシックというような意味合いで(「夕暮れ」でなく敢えて)「黎明」とした。
白秋の詩「夜」は詩集『思ひ出』から。この詩集には他にも「たそがれどき」など、同趣向の「こわいものが来る」的な詩が含まれている。
鏡花の怪奇ものならなんでもよさそうだが、なんとなく近代以後の「ゴスの祖」にはこれがいいかなと思った。
賢治がゴシックというのは意外かもしれないが、知ってる人は知っているこれ。一筋縄ではいかない作家だったですね。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』表紙・帯

表紙。いいでしょう?
人形作者は中川多理さん、デザインは柳川貴代さんです。

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なお、帯文もお知らせします。以下。

残酷で、崇高。

野蛮で、哀切。

――今見いだされる不穏の文学。

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リテラリーゴシック宣言

「 二〇一〇年代の日本を妖怪が徘徊している。ゴスという名の妖怪である。」

    と始まるのですが言うまでもなく『共産党宣言』風。続いて、

「 ……私は、すでに自由にしており、はやく友人たちにもその恩恵を享受させたいとのぞんでいたこの新しい不純な表現方法を、「リテラリーゴシック」の名で呼ぶことにした。」

    と、こっちは『シュルレアリスム宣言』の一節からのアレンジ。

これらは遊び心と考えてください。が、そこから後は生真面目に記している。
「ゴシックロマンス」や「ゴシック小説」という言い方は既にあるが「リテラリーゴシック」という語は私が始めたものなので、その意味、考え方、理想、など。ここは実際の書籍を読んでいただきたいと思います。で、その最後の部分が以下。

 これからこんな文学が始まればよいと私が願う、夢の水先案内としてこのアンソロジーは編まれた。ゴシックの文化は今では世界的な広がりを持つ。現在の日本での、その文学的成果がこれだ。
 異論はいくらでも認める。「こんなの違う」「これが入っていないとはなんたることだ」という意見があって当然である。そういうご感想を持たれた方は是非、「自分のリテラリーゴシック」を選び直すか、あるいはご自身で新たに創っていだきたい。そうしてゴシックの名のもとに新しい文学を始めようではないか。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』収録作家リスト補足

構成と章分けを記します。以下。

『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』

序 「リテラリーゴシック宣言」 高原英理

1 「黎明」

  北原白秋 泉鏡花 宮沢賢治 

2 「戦前ミステリの達成」

  江戸川乱歩 横溝正史 小栗虫太郎

3 「『血と薔薇』の時代」

  三島由紀夫 倉橋由美子 塚本邦雄 高橋睦郎
  吉岡実 中井英夫 澁澤龍彦

4 「幻想文学の領土から」

  須永朝彦 金井美恵子 葛原妙子 高柳重信
  吉田知子 竹内健 赤江瀑 藤原月彦 山尾悠子
  古井由吉 皆川博子 久世光彦

5 「文学的ゴシックの現在」

  乙一 伊藤計劃 桜庭一樹 京極夏彦 小川洋子
  大槻ケンヂ 倉阪鬼一郎 金原ひとみ 木下古栗
  藤野可織 中里友香 川口晴美 高原英理

解説 高原英理

以上。章題をご覧いただければどういう理由でこの作家が収録されたのかはある程度おわかりのことと思います。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』収録作家リスト

『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』収録作家、以下。作品収録順。

 北原白秋
 泉鏡花
 宮沢賢治
 江戸川乱歩
 横溝正史
 小栗虫太郎
 三島由紀夫
 倉橋由美子
 塚本邦雄
 高橋睦郎
 吉岡実
 中井英夫
 澁澤龍彦
 須永朝彦
 金井美恵子
 葛原妙子
 高柳重信
 吉田知子
 竹内健
 赤江瀑
 藤原月彦 
 山尾悠子
 古井由吉
 皆川博子
 久世光彦
 乙一
 伊藤計劃
 桜庭一樹
 京極夏彦
 小川洋子
 大槻ケンヂ
 倉阪鬼一郎
 金原ひとみ
 木下古栗
 藤野可織
 中里友香
 川口晴美
 高原英理

以上。収録は当然、の作家も、え、この人が、の作家も、おられますね。
章分けと収録理由等はまた明日以後に。今日はここまでで失礼します。

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新たな基準を探す

たとえば、『人外領域』という変格探偵小説は、東野圭吾さんのご指摘のとおり、推理小説としてみるならあまり謎解きがフェアになっていない。
またこれもおっしゃるとおり、作者である私がこんなシチュエーションを描きたかったから無理やりこんな世界にしたのであって、社会的考察による必然性はない(が、実のところ、その理由は異なれ、現在の日本は私の描いた超差別社会にかなり近づきつつあるように思うけれども)。
そうした、こちらは桐野夏生さんのお言葉だが、「バットマン」のようなダークな世界で展開する探偵小説を、私自身が読みたかったからだ。
ならばこの作品を東野さんが否定的に判断なさるのも当然と思う。
とはいえこれも探偵小説には違いない。こういう作品を評価する基準と枠はないか。

なお、『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』の収録作家名を明日公表します。

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『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』

「リテラリーゴシック」というのは以前「早稲田文学」フリーペーパー版に連載していた記事の題名で、その多くは加筆訂正の上『ゴシックスピリット』の第8章に収録された。
「文学的ゴシック」として「ゴシック小説」としないのは、ゴシックロマンスを起源とする小説とはひとまず切れた、現代のゴス的感受性の文学的展開という意味から。
それと、小説に限定せず、詩、短歌、俳句、随筆も収録したため。
「幻想文学」としてみても「怪奇小説」・「ホラーノヴェル」等々としてみても、どうも完全には覆えない、現代の不穏を感じさせる優れた文学作品集、とお考えください。

で、

高原英理編『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』ちくま文庫

2014年1月8日配本 定価1600円(税抜)

収録作品は全39作品(38作家)に及び、680ページを越える大冊となりましたので上の価格となりました。読者諒せよ(乱歩風)。

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時期は2014年1月

そうです。
ちくま文庫最近の方向性ですね。
私も一冊アンソロジーの編者をやります。
『リテラリーゴシック・イン・ジャパン 文学的ゴシック作品選』
という題名で来年1月刊行予定。

取り急ぎ、今日はここまで。
これからそちらへ出かけます。初めてですが、どうか、みなさんよろしく。

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