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明日のイベント第一部のおみやげ

明日2/28(金曜日)は、パラボリカ・ビスでこれ →

◆2/28(金)Start 17:00 第一部
高原英理/リテラリーゴシック・イン・ジャパン 出版記念トークショウ
出演:高原英理、中川多理 司会:今野裕一

◆2/28(金)Start 19:30 第二部
中川多理/「イブの肋骨」___中川多理人形作品集 出版記念トークショウ
出演:高原英理、中川多理 司会:今野裕一

料金:前売 1,500円、当日2,000円、通し券2,500円(通し券は前売りのみ)
ご予約はパラボリカ・ビスへ お電話:03-5835-1180

この第一部においでの方には
『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』本編の解説で語れなかった話などを記した16ページの小冊子
『「リテラリーゴシック・イン・ジャパン」もうひとつの解説』
をさしあげます。

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昨日電車の中で

といっても痴漢を見たとかそういうことではない。
昨日は理由あっていくつもの電車で移動する時間が長かった。座れることが多かったので読書もしたが、立っているときには普段見ないような情報を目にするものだ。
山手線とか埼京線とかのドアの戸袋のところによく何かの宣伝が貼ってある。中吊り広告ではなくて、パネルのように壁に貼り付けるスタイルの広告である。
ここによく見かけるのが、幸福になるためのなんとか、というような人生本の宣伝である。
あまり興味ないのでいつもは見ても忘れるのだが、この日は内容紹介中の一文だけ、なんとなく納得したのがあったので記す。
今確認したが、著者は石原加受子という人で、題名は『仕事・人間関係 「もう、限界! 」と思ったとき読む本』という、自分はまず手に取ることはないだろう本だが、この人はカウンセラーで、『なんとかのときに読む本』シリーズは通算20万部も売れているのだそうな。
さて、この広告には、「こんなときは……せよ」「こういうことには……するな」みたいに内容に沿って、行動の勧めを列挙してあるのだが、その中のひとつ(ここは確認できなかったので記憶だけに頼って記す)に、
「嫌いな人をあれこれと分析するな、そうしていると自分がその人に似てしまう」(大意)
という一節があって、他はどうでもよかったが、ここだけは教えられた気がした。

これまで、嫌なものについて書きたくない、好きなものについてだけ書いていたいというようなことを言ってきたのも、考えてみれば、自分にとって不愉快な存在に侵食されたくないという意志ではなかったか。そういう作品の著者に似たくはないよね。
かつてやたらに書評を依頼されてすべて引き受けていたとき、「頼まれたからなんとかいいところを見つけて書いたけど、本当のこと言えば、こことこことこことこことはすごく駄目だし、正直嫌いだし、こういうこと書く作者も嫌んなったし」というような、後からの怨念が噴出することも、そう多くはないがあった。
そういうのって、考え出すといつまでも考えてしまうんだなあ。気に入らない理由とか。
しかも、なかなか公にはできないから内向してしまうのであった。
やはりそういうのはやめておかないと、どうも自分が損なわれると思ったころから、書評の依頼を断ることが増えて、その結果今は未読での書評依頼というのはほとんどなくて、年に一回あるかどうかのそれも、ものすごく吟味してから決めることになった。
こんなことやっていれば不利なのだろうけれども、もういいと思う。自分がうまくゆくとしたら嫌いなものを一生懸命に我慢していい顔をし続けた結果ではなく、思わぬ好きなものに出会って思わぬことをした結果だと思う。
書評に限らず、嫌いな人の嫌いな理由とか考えるのは確かに損してるね。
でも、じゃ、好きな人のことをあれこれ分析するとその人に似てくるのか?
だったら最高だが、世の中そう甘くはないとは思う。が、しかし、これについてはそうしていることが幸福なのだからよいではないか。
この日は中井英夫の随筆集のまだ読んでなかったものをずっと、座れたさいの車内で読んでいたが、乱歩とか三島、澁澤、塚本、寺山とかの、中井さんの好きだった作家について書かれているところは生き生きと幸せそうだった。
と昨日は、少しばかり人生を考えた車中であったことよ。

(ここんとこ、いつかもう少々書き直してエッセイにして発表したいと思う。そのときは削除します)

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中井英夫の言葉から

「ミステリーで大事なのは、小つまらないトリックとその解明などではない、その背後にさらに大きな人間の謎を秘めているかどうかで、それを読者に手渡すことができるか否かですべての評価は定まるだろう」
(「『孤島の鬼』を読む」、『磨かれた時間』所収)

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リテラリーゴシック・フェア

「リテラリーゴシック」などというのは私がただ一人で始めたわけだから何の後ろ盾もなく何の応援も期待できないが、案外賛同してくださる方々がおいでで、まことにありがたく、御礼申し上げます。

一人で叫んでいても(それはそれで淋しくていいけどな)、何らかの形で現在の経済と業界的利得に接しない限り、意味は見出されまい。というわけで、ない知恵をしぼってみたわけですね。

というような殊勝らしい言い草は嘘です。というか後付けの理由です。
私は昔から「なんとかブックフェア」というやつが大好きで、しかもそこに一冊でも自分の本が並んでいたりすると、がはは嬉しいぜ。
というわけで、他の方のことは知らないが、自著の刊行以外に自分が一番やりたいののひとつがなんとかフェアなわけ。
というわけで『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』刊行決定後かなり初期のころからこれ考えてたんだわ。
他の方は知らないが、こういうふうに自分の本が販売促進されるときっと嬉しいんじゃないかな、たとえ、「余計なことだ」とお考えの方があっても、ひとまず嫌がられはすまい。
といったところですかね。で提案してみたらご賛同いただけたというわけ。

リストの六、七割は私が考えましたが、参加作家の皆様にお尋ねした結果によるものもあります。
まず、現役の作家さんたちに、「もしご自身の著作でリテラリーゴシック的とお思いになるものがありましたら、お教えください」とお伝えした。
ご回答のあった方の著作をリストにあげ、ご回答のなかった方の推薦著作と、お亡くなりになった著者のそれとはすべて私が決めました。

その場合、宮沢賢治、泉鏡花、江戸川乱歩、三島由紀夫、澁澤龍彦、に関しては、ちくま文庫の『ちくま日本文学』からの一冊ずつをあげたので、ちくま文庫の比率が大きくなっています。
他に比率の大きいのは早川書房、東京創元社、講談社、国書刊行会、思潮社、といったところかな。飽くまでも結果的にですが。
ただ、書店さんの判断による取捨選択があるので、実情がどんなか私には把握できません。複数の場で行われる予定でもあるし。
で、どんな本が? それはもうご自身でご覧ください。
今はどこで行われているか、わかることがあればここにも記します。

ところで日が近づいたのでまたもう一度記しておこう。
2月23日(日曜日)18:00~
カフェ百日紅で『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』読書会第二回目。
今回は第四章「幻想文学の領土から」収録作品について主に考えます。

なお、第三回目は3月30日(日)、第五章「文学的ゴシックの現在」について
第四回目は4月20日(日)、全章を振り返って・これからの展開

いずれも18:00~カフェ百日紅で。
入場無料・予約不要・ワンドリンクオーダーのみお願いします。

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始まる いや、もう始まっていた

ここ と ここ

たまたま昨日知ったのが上でした。
ジュンク堂書店福岡店さん、有隣堂ヨドバシAKIBA店さん、ありがとうございます。

「リテラリーゴシック・フェア」は、『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』刊行記念として、収録作家の「リテラリーゴシック」的著作を1~2冊ずつ決め、一挙に販売する企画です。

上、有隣堂ヨドバシAKIBA店さんの映像にあるような感じで並んでいます。
ここではよく見ると、どれも高原英理によるコメントが付いていますね。
各お店の判断によるので使用されるかどうかはわかりませんが、それぞれの作家さんあるいはその著作に関しての、かつて私が書いた解説や紹介・評からの抜粋を、企画のさいにお送りしてあります。
どんな評が? それは書店でご覧ください。
すべてが使われていないとしても、行ってみればいくつかあるのでないか(足穂風)。

なお、先日、池袋ジュンク堂に行ったら、ちくま文庫用の棚の一列だけを使って、ちくま文庫限定のプチ・リテラリーゴシック・フェアをやっていただいておりました。こちらも御礼申し上げます。
これから日本中、あちこちで始まる予定で、というか、もう始まっているところもあるかな。
明日はあなたのお家の近くの書店でも……

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街中とかデパート内とかで「ロッキー」のテーマが聞こえてきたとき

「今は何ラウンドだ?」

と言ってみること推奨。できるだけ渋い声で。

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江戸川乱歩と稲垣足穂の間にいる

前からちょくちょく言ってたことだが。
闇の、といっても子供の怯えがもとになっている、怖い、心許ない、しかし、懐かしい、異形たちの棲む、そんな暗闇への方向、もう一方は驚異と憧れ、機械と未来都市の上にかかる星と、期待に満ちた薄紫の空への方向、という二つの間で、これまで何か書き何か考えてきたように思う。
その二方向の間に広がる可能性を今も信じているけれども、しかし、どちらも子供の心に映った何かの強い印象を忘れない、という動機から始まっている。ひらたく言えば幼稚である。少し世を知ってその上に無理を通せば、今の言葉で言うところの中二病が待っている。
けれどもそのあたりで「嘲笑」に妥協せず、つまり先回りして嘲笑する側に立たず、十年一日のように愚昧に続けることが私には肝要なことに思える。
幼稚なものへの安易な嘲笑と、「なんでもわかっている」自分の優位性のアピールは罠である。そういうことにかまけているから、「恥ずかしいが大切なこと」がいつまでも見えない。

なお、ゴシックというのは私の乱歩的方向を名づけたもので、足穂的なもう一方向をどう名づけようか、それが来年までの課題。

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「みろく」

ところで稲垣足穂の回想に、「彌勒」を「みろく」と読めなくて「やかん」と読んだ人がいたという話が出てくる。
いやそれだけなんだけど。

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映画「彌勒」を見る

オーディトリウム渋谷で林海象監督映画「彌勒」を見る。
前半、台詞演技等にいくらか考えるところもないではないが(私だったらこうする、という意味)、モダニズムの発現としてはうまくいっている。ロケ場所もよく映像はどれもよい。
後半の落魄した貧しさも見ている側には重くない。理由とか由来をすべて排しているので面倒な葛藤もない。そのあたりが原作とも近い。
特に後半のもって行き方はよいと思った。
ところで、途中、全部ではないが、普通なら「……ではないか」と言うところを「……でないか」とした台詞があり、さすが足穂読み込んでるな、と思った。
よい映画です。
オーディトリウム渋谷では2/14までだそうなので、いける人は今週、いっといたほうがいいよ。→オーディトリウム渋谷

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次は「夜想」のイベントでお会いしましょう

今月末、「夜想」の本拠地で、今回表紙にその作品の写真を使わせていただいた人形作家の中川多理さんとトークショウでぅす。
『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』とともに中川さんの作品集『イブの肋骨』刊行記念。
これ→パラボリカ・ビス

◆2/28(金)Start 17:00 第一部

高原英理/リテラリーゴシック・イン・ジャパン 出版記念トークショウ
出演:高原英理、中川多理 司会:今野裕一

◆2/28(金)Start 19:30 第二部

中川多理/「イブの肋骨」――中川多理人形作品集 出版記念トークショウ
出演:高原英理、中川多理 司会:今野裕一

料金:前売 1,500円、当日2,000円、通し券2,500円(通し券は前売りのみ)
ご予約はパラボリカ・ビスへ お電話:03-5835-1180

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帰りましたでござる

昨日熊本から帰った。よいところであった。
2/3に熊本県立大学で講義、続いて長崎書店で黒瀬珂瀾さんをゲストに講演した。
黒瀬さんありがとうございました。
おいでくださいましたみなさまありがとうございました。
この催しは熊本文学隊(←文学を盛り上げる「ひみつけっしゃ」だそうです)のご援助をいただきました。
熊本文学隊のみなさまありがとうございました。
ご来場の伊藤比呂美さんご質問「太宰治はゴスと言えないのか? (自分の考えでは言えないという回答に対して)どうしてか?」等、跡上史郎さんご質問「(主に三章に収録の作家の何人かについて)そうした作家たちにとっての政治性の有無は?」等、また別の方々からの「ミステリーの異端は」「日本SF作家は」等、いずれも質の高いご質問をいただきました。こうした質問のおかげでとりわけ面白くなった。御礼申しあげます(質問タイム、というと、あーあ、な感じのがひとつくらいはあったりもするのだが、そういうこと言う人が全然いなかった)。
そして長崎書店さんにもう一度御礼申し上げます。

こうした場で何か思い付きがありましたら幸いです。
今回は私からの考えを語りましたが、といって正解があるわけではなく、たとえば太宰治をゴスと考える発想もあってよいと思います。もし興味がおありでしたらどうかこのような文学にもご参加ください。

何よりお呼びくださった難波美和子先生に感謝いたします。市内をご案内までしていただいて、ありがとうございました。熊本城広い。

と、いいことだけ経験して帰ってきたら、いきなり佐村河内守ゴーストライター問題を知る。世の中は過酷である。この件についてはさんざん語られているだろうけれども、そのうち自分も何か記してみようと思う。

が、それはともかく、文学に親切な熊本を褒め称えたい。

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熊本へ

本日から2/5まで熊本に滞在します。
その間のご連絡等には2/6以後お答えいたします。
んじゃね。

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問われても問われなくても

はい。今は自ら道を造る仕事をしています。
倦まず弛まずですね。

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