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飯沢耕太郎 編 『きのこ漫画作品選』(Pヴァイン刊) について

飯沢耕太郎 編『きのこ漫画名作選』(Pヴァイン刊)→■■推薦します。

20160404

                これ↑

以前、読者大驚嘆とともにすぐ完売した同編者による『きのこ文学名作選』(港の人刊)と同じく、限定3000部だそうですね。こっちもすぐ完売しそう。みんな書店へ急ごう。

きのこ文学漫画絵画映画切手等、きのこの文化的表現に関する博物学的大先達、飯沢耕太郎さんの一貫したきのこ本、ついに漫画編、というわけ。

なお、『きのこ文学名作選』は完売・重版予定なし(装丁が凝っていすぎるため二度と作れないとのこと)ですが、同じ版元・港の人からの『きのこ文学』姉妹編・田中美穂編『胞子文学名作選』はまだ手に入る模様→□□

『きのこ漫画名作選』にはかつて幻のきのこ漫画と言われ、近年評価の高い白川まり奈「侵略円盤キノコンガ」が全編収録されています。
題名でどういう話かおよそ分かると思いますが、宇宙から来たキノコ胞子が人間にとりついて……です。キノコ人間の絵が怖い、でも、最後まで来るとホラーというよりは……

他には秋山亜由子「山の幸」。『虫けら様』の秋山さんによるあの絵の、見開きで、きのこ満開の森のシーンあり。いいよ。端の方にきのこを傘にしてかざしたカエルもいてキュート。きのこなのか精霊なのかわからないものも多数。

往年の漫画ファンにはおなじみ松本零士『男おいどん』から「あの」サルマタケについて。
また少女漫画ファンには懐かしい、みを・まこと「キノコ・キノコ」。
そしてブラッドベリ原作・萩尾望都絵による「ぼくの地下室へおいで」など

『きのこ漫画名作選』で今回初めて知った青井秋「爪先に光路図」というBL漫画がよかった。これは前編だけの収録なので中・後編も読もうと思う。
それと村山慶「きのこ人間の結婚」。これも最初の章だけ収録なので全編読みたい。

他には花輪和一、白土三平、吾妻ひでお、坂田靖子、ますむらひろし、つげ義春、といった巨匠たち。
長崎訓子、新國みなみ、友沢ミミヨ、林田球、大庭賢哉、の特異作家たち。
そして、編者・飯沢さんの一作ごとの後に置かれた解説がグッド。きのこ愛だなあ。

小説「日々のきのこ」の続編を、今年中には書きたい。と、『きのこ漫画名作選』を読んで今一層思いますた。

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