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高原英理 『不機嫌な姫とブルックナー団』 について(その2)

高原英理 『不機嫌な姫とブルックナー団』 講談社 8/26刊 (1566円税込)

この小説のヒロインであり語り手である代々木ゆたきは非常勤図書館員なのだが、あるときから現在の図書館の残念な状況に直面することになる。ゆたきはかつて翻訳家を目指していたが挫折している。そしてブルックナー団員たちの残念な様子も知る。なんかズレた彼らから「姫」と呼ばれるとひどく嫌がる。
というわけで「不機嫌な姫」なのです。

ただ、それはゆたきの話の部分。ほぼ半分くらいは、ゆたきが知ったブルックナー団員・タケの書く「ブルックナー伝」で構成される。そこにはヴィーンで作曲家をめざしながらさんざんな目にあう滑稽でダメなブルックナーの姿が描かれる。
ゆたきはタケが小説として書き続けるダメダメなブルックナーの生涯を面白がり、情けながりながら読んでゆく。それはあるクライマックスまで至る。

『不機嫌な姫とブルックナー団』、最初は「ブルックナー団」という題名で考えていた。
編集の人から、主人公=語り手が30代の文化系女子なのだからそこが感じられるような題名がいい、と言われて、また、少し華やかにしようということで「……姫」を加えることにした。
帯文をいただいた穂村弘さんがおっしゃるには「よく売れる本の題名はちょっとだけダサい」。
『ブルックナー団』という題名は適度にダサく、しかも何それ? と思われる意味では悪くない。ただ、主人公=語り手が32才の独身・図書館勤務の女性で、文化系女子には是非注目してもらいたいという気持ちもあった。
そこでちょっと大げさに「姫」を加えるという案が出た。やりすぎかなとも思ったが、すると「ブルックナー団」がこの場合、姫を守る騎士団みたいな感じになって、実際の内容とは逆になっているのもおもしろいと思った。
「ブルックナー団」がブルックナーオタクのサークルとわかると「オタサーの姫」の話か、と思われる可能性もあるわけで、そう思われても仕方ないが、ちょっと違うよ、という意味で「不機嫌な姫」とした。すると今度はサークルクラッシャーか、とも見えるがそうではない。
いろいろ迷った末、ようやくこの題名を考えついて、穂村さんに尋ねてみたら「すごくいい」と言ってもらえたので決めました。

『不機嫌な姫とブルックナー団』主人公・代々木ゆたきはブルックナーファンであること以外はごく地味な文化系女子で、「オタサーの姫」と言われることは嫌う。ただそれでも「ブルックナー団」メンバーとともにいると位置的には「姫」になってしまう。
団員には明治の書生たちみたいな感じもあるし、また、ゆたきには考えられないような断絶もある。それというのは一体、性差によるものなのだろうか?

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