高原英理 『不機嫌な姫とブルックナー団』 について(その5)
この小説は、2012年に講談社の編集の方と話していて、たまたま音楽のことになり、ブルックナー好きの女性って少ないんです、なるほど男のブルオタたちはまたこれが大抵お洒落からは遠くて、そもそもブルックナーという人が非モテの元祖で……という話をしたら、だんだん面白くなっていって、「それでやりましょう」となったもの。
その後、何度も書き直し練り直した。その編集の方はいつも納得のゆくいいアドヴァイスをくださって、無理やりの書き直しとか、指示なしのダメ出しとか投げっぱなしとかは一切ありませんでした。ほぼ共同制作みたいで、こんな恵まれた形で小説を書けたのは本当に幸せとしか言いようがない。
とはいえ、あまりに練り続けたので完成に4年近くかかってしまった。その間ほとんどこの小説を書いては捨てていた。おそらく通算数千枚は書いたことになるだろう(なお完成作は四百字詰として250枚ほどです)。
もし、今回の『不機嫌な姫とブルックナー団』の評判がいくらかよければ、ここ4年の間に、書いたけれども今回の小説には使えなかったエピソード(多数)を用いた別篇も発表できるのですが、それは読みたい方がいらしてこそなので、どうかまずご判断ください。
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